矢印が南を指す

 

こわ。Amazonが「 方位磁針」をおすすめしてきた。 恐怖でしかない。

 

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だってわたしはさっき読み終えた本を横目に、あなたがいなくなる未来でわたしはどちらの方向にどこを目指して歩いていけばいいんだよ、と思っていたから。どこへ向かえば、何か「大きくてあたたかくて柔らかいもの」にたどり着けるんだろう。果たしてあなたがいなくなったわたしの世界で、わたしは南を南として認識することができるのだろうか。いっそのことわからなければ、適当に歩き適当に諦め、適当に死んでいけたというのに、太陽は東から昇り、空を赤く染め闇に戻すその作業が滞りなく行われる世界じゃあ、南がわかってしまうんだよ。いっそのこと、空が永遠に青ければよかったのに。永遠に青く、  澄んでいて、ときどき手のひらからこぼれ落ちたような砂が風に流されるがごとく薄い雲が遠くに霞みがかる空であったなら、わたしは南も、西もわからずにそこで土に還ることが叶ったかもしれないのに。

 

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国境の南、太陽の西』を一晩で読み切った朝に書いたもの。下書き供養。「あなた」、とは。

 

国境の南、太陽の西

国境の南、太陽の西